納骨とは?納骨式の流れやマナーを解説【動画あり】
身内の方が亡くなられたときや、何らかの事情でお墓を移転あるいはしまうことになった場合、納骨を行う必要があります。
訃報は突然訪れるものですので、いざというときに困らないよう、納骨の流れやマナーをきちんと理解しておきましょう。
ここでは、納骨の基礎知識や、納骨式の流れ、マナーについて解説します。
納骨とは、ご遺骨をお墓に納めて供養すること
納骨とは、火葬を終えた故人様のご遺骨を、お墓に納めて供養することです。
従来は、先祖代々のお墓に納骨するのが一般的でしたが、近年は少子高齢化や核家族化などの影響により、納骨堂や永代供養にご遺骨を納める方も増えてきています。
納骨の際に行われる一連の儀式は「納骨式」と呼ばれ、故人様とゆかりのある親族の方々が一堂に集まり、供養を行います。
納骨式は残された家族にとって、大きな節目となる大切な儀式ですので、当日までにしっかり準備を進めておく必要があります。
納骨のタイミングに決まりはない
日本では、「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」第3条により、「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない」と定められています。[注1]
ただ、死亡後24時間を経過した後、荼毘に付されたご遺骨を納めるタイミングについては、法的な決まりはありません。
一般的には、閻魔大王からの裁きを受ける49日目を境に忌明けする仏教の教えにならい、四十九日の法要とともに納骨を行いますが、ご家庭によってはお墓の用意が間に合わないこともあります。
お墓の購入を検討してから、実際に契約に至るまでに3ヶ月以上かかるケースも多いようです。
さらにお墓を建てるには、約1~3ヶ月の期間を要しますので、新たにお墓を準備されるという方は、無理に四十九日法要に合わせようとせず、百か日法要や一周忌、三周忌など、節目の法要に合わせて納骨式を行うことを検討した方がよいでしょう。
[注1]厚生労働省:墓地、埋葬等に関する法律
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15/
納骨式の準備と費用相場
お墓の用意が調ったら、納骨式を行う準備を始めます。
納骨式は法要と合わせて行われますし、式場となるお寺や、お招きする僧侶・神職の方、式に出席する親族の方のご都合もありますので、日程が決まったら、なるべく早めに準備を開始しましょう。
ここでは、納骨式に向けて行う主な準備を、時系列順にまとめました。
1. 必要書類を準備する
納骨を行うには、死亡届の提出時に役所で発行してもらった「火葬許可証」に、火葬場で火葬済の押印をしてもらった「遺骨埋葬許可証」が必要です。
また、墓地や霊園に納骨する場合は、それぞれの管理者に発行してもらう「墓地使用許可証(受入許可証)」も用意する必要があります。
2. 日程の調整
納骨式では、お寺で僧侶・神職の方にお経を上げてもらった後、墓地に移動して納骨を行います。
そのため、まずはお寺や僧侶・神職の方、墓地・霊園と話し合い、納骨式の日程を調整しなければなりません。
とくに法要の日程がお彼岸やお盆の時期と重なるときは、日取りの自由が利きにくくなりますので、早めに相談されることをおすすめします。
3. 参列者への連絡
納骨式の日取りが決まったら、式に参列する親戚の方々へ、正式な日程を連絡します。
電話連絡でもかまいませんが、丁寧にご案内したい場合は挨拶状を送付しましょう。
4. 戒名彫刻の手配
故人様の方の戒名を過去碑や墓誌に刻む「戒名彫刻」の手配を行います。
戒名彫刻には3週間ほどの時間がかかりますので、早めに石材店へ依頼しましょう。
5. おもてなしの準備
法要と合わせて納骨式を行う場合は、会食を手配する必要があります。
法要とは別に納骨式を行う場合も、参列者に配るお茶やお菓子などを前もって準備しておきましょう。
6. お供え物の準備
祭壇や墓前にお供えするお花や果物、お菓子などを準備します。お供え物の種類について、くわしくは後述します。
7. 納骨式に必要なお金を準備する
納骨式では、戒名彫刻料や納骨作業費、お供え物代のほか、法要費としてお布施や謝礼、会場の使用料などの費用がかかります。
納骨に関連する費用の相場は約4~9万円で、おおよその内訳は以下のとおりです。
● 戒名彫刻料:約3~5万円
● 納骨作業費:約1~3万円
● お供え物代:約5,000円
一方、法要に関する費用相場は15~30万円程度で、内訳は以下のようになります。
● お布施:約3~10万円
● 僧侶・神職の方へのお車代:約5,000円~1万円
● 会場使用料:約3~5万円
● 会食費:5,000円程度/1人
● 引き出物代:5,000円程度/1家族
お布施・謝礼に関しては約3~5万円がおおよその相場となっていますが、納骨式と法要を合わせて行う場合は別々に準備するため、費用もおよそ2倍になります。
なお、お墓を新たに建てる方は、別途墓石の建立費も必要となります。
納骨式当日の流れ
納骨式の手順は宗派や法要の内容によって異なりますが、ここでは一般的な流れをご紹介します。
1. 喪主・施主の挨拶
納骨式を始めるにあたり、喪主・施主の方から参列者の方々へ挨拶を行います。
参列頂いた方へ感謝の意を述べると共に、現在の心境や近況、式後のご案内についてお伝えします。
2. 読経・納骨・焼香
お招きした僧侶・神職の方が読経をあげ、参列者の方々が手を合わせてご供養します。その後、霊園や墓地に移動し、ご遺骨を納骨します。
納骨後は、再び僧侶・神職の方に読経をあげていただき、近しい遺族の方からご焼香を行います。
3. 会食
読経が終わり、納骨式が終了したら、会食の会場へ移動します。
会場は自宅やホテル、料亭などで行いますが、移動の手間を省くため、なるべく墓地・霊園から近い場所で予約を取りましょう。
近場に会食できる場所がない場合は、車を手配する必要がありますが、会場によっては無料送迎に対応してくれるところもありますので、あらかじめ問い合わせておくことをおすすめします。
会食が終わったら、用意していた引き出物を渡し、解散となります。
納骨式のマナーと服装
納骨式を行うにあたり、ぜひ覚えておきたいマナーや服装のポイントをご紹介します。
服装は四十九日までは喪服、それ以降は平服でも可
納骨式を四十九日法要と合わせて行う場合は、ご親族・参列者の方ともに喪服を着用するのがマナーです。
四十九日以降に行う場合は平服でもかまいませんが、黒やグレーなど落ち着いた色味の服を着用しましょう。
香典袋の表書きに注意
納骨式に参列される方は御香典を用意しますが、香典袋の表書きは四十九日を境に変化します。
四十九日法要と合わせて行われた場合は「御霊前」、それ以降であれば「御仏前」の香典袋を使用するのがマナーです。
なお、表書きが「御香典」の袋は、納骨式のタイミングにかかわらずお使いいただけます。
御香典の相場は1人につき5,000円~1万円、ご夫婦で参列される場合は、夫婦連名の御香典袋に2人分の御香典を包みます。
お供え物について
納骨式では、祭壇や墓前にお花などをお供えします。
お供え物は基本的に施主様が準備する必要がありますので、どんなものがふさわしいのか、事前に確認しておきましょう。
ここでは納骨式のために準備する代表的なお供え物をご紹介します。
祭壇に飾る生花
祭壇に飾るお花は、原則として生花を一対ずつ用意します。
お花の種類に決まりはありませんが、香りの強い花や、花粉がつきやすい花、花弁が落ちやすい花は避けましょう。
季節が合えば、故人様の好きな花を準備するのもおすすめです。
その他のお供え物
生花以外のお供え物については、地域や宗派、お寺などによって異なります。
以下では一般的なお供え物をご紹介しますが、事前に関係各所へ確認されることをおすすめします。
● 昆布やわかめなど海のもの
● 旬の野菜
● 旬の果物
● 個包装のお菓子
● 一升瓶または五合瓶のお酒(缶入り1本でも可)
● 白い丸餅
● お線香一束
● ろうそく
● 洗い米
● 塩
● その他、故人様が好きな食べ物
墓前にお供えする果物やお菓子は、虫や鳥対策として、霊園からお持ち帰りをお願いされるケースが多いので、配りやすいもの・持ち帰りやすいものを選びましょう。
納骨を行わない場合の注意点
法律では納骨に関する規定はなく、その時期についても言及されていません。つまり、納骨は必ずしも行わなければならないものではなく、納骨をしないという選択肢もあります。
実際、大切な家族をなくして心の整理がつかないという方が、ご遺骨を納めた骨壺を自宅で保管する「手元供養」を選択するケースも増えてきています。
また、お墓や納骨堂などの場所にとらわれず、海に散骨したり、樹木のまわりにご遺骨を埋葬したりする「自然葬」も広く普及しています。
ただ、埋葬法第4条にある通り、荼毘に付した故人様のご遺骨は、墓地以外の区域に埋葬することは禁じられています。[注2]
そのため、樹木葬を行う場合は、墓地として指定・管理されている土地を選ばなければなりません。
海への散骨については、厳密には遺灰を撒きますので、第4条には抵触しないと考えられていますが、散骨する場所によっては管理者から風評被害などで訴えられてしまうリスクがあります。
そのため、沖合で散骨するのが一般的ですが、個人で行う場合は船を借りるか、海洋散骨を行っている業者に委託する必要があります。
海への散骨そのものは違法ではありませんが、海洋散骨を事業として行うには許可が必要ですので、違法な業者に委託しないよう注意しましょう。
[注2]厚生労働省:墓地、埋葬等に関する法律
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15/
自宅に置く場合は環境に注意
ご遺骨は高温多湿の環境下で保存すると、カビが生えてしまうことがあります。
自宅で骨壺を保管する場合は、直射日光を避け、通気性の良い場所に安置しましょう。
また、地震などが発生したときに骨壺が倒れてしまわないよう、置く場所にも配慮することが大切です。
納骨を行うときは、事前準備をしっかりと!
故人様のご遺骨をお墓や納骨堂に納める納骨式は、四十九日などの法要と合わせて行うのが一般的です。
ただ、納骨式までにはお墓やお供え物の用意、日程の調整などさまざまな準備が必要になります。
とくにお墓を新たに建てる場合は、数ヶ月の時間を要しますので、準備が調う頃を見計らって納骨式の日程を決めてもよいでしょう。
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